合図






カーテンの隙間から差していた陽が床を這って行き、最後に残されていたオレンジの光は、いつの間にか室内の薄い闇と混じり消えていった。
ベッドの上に足を投げ出して座り壁に背をあずけ、触れ合っているのは肩と肩。腕と腕。そして握り合った手。
どれだけの時間こうしていたのかもう分からない。
そう広くも無い部屋のほんの僅かな空間に、自分達だけの世界がある。
特に何をしなくてもいい。したいのは、英二と一緒に居ること。





話す声は二人の間の空気だけを震わせて、同じように言葉を返してくれる彼の為だけに存在する。
他愛もない話なのに何故だか其れが可笑しくて小さく笑えば、可笑しくないよと不満げに言う英二もまた小さく笑った。
それがまた愛しくて口元を緩めながら彼を見ると、徐々に近づく瞳に急に彼の名前を呼びたくなる。
「英二」
「ん…何?」
返事と共に返されたのは、頬へのキス。
「なに?」
それだけで頬が急激に熱くなった。
「えーじ」
「なに?」
改めて問いながら、髪に瞼に額にとキスを止めない。
されるがままに其れを受け止めれば、熱が頬から身体に広がっていく。
それを隠したいと思いながらも一気に上がる熱を彼にも知って欲しいと思う矛盾した気持ちに、息が詰まる。
自分だけでは嫌だ。
そして、唇に柔らかい感触。
ただ触れるだけの唇は、それだけでは満足できない程の熱を持ち、無意識に彼の身体を引き寄せるのには充分だった。
「えーじ…好き」
唇が離れた瞬間に真っ直ぐ彼の目を見て伝えれば、その瞳には既に欲情の色が濃く見えた。
「うん。俺も好き」
そう言って唇が再び重ねられる直前、彼の瞳の中に映った自分の目も彼と同じ欲の色を持っていた。
それがどうしようなく恥ずかしいと思いながら、それでも何処か安堵を覚える。
自分だけが持った熱では無く、また、彼だけが持った欲でも無い。
求めるだけでは無く、求められていると言う安堵。
欲しいと感じたと同時に、欲しいと感じて貰える幸せ。
それを得る為に何の合図が必要だというのか。
好きだと思うだけで、今は何も要らない。
それが嬉しくて、また夢中で口付けを続ける。





倒れ込んだベッドの上。
何度も英二の名を呼び抱き合えば、好きだと囁く声が心地良く身体に染みた。
部屋の隅に置かれた小さなベッド、そこに今の僕達だけの世界がある。
抱き合う為の合図は要らない。必要なのは英二だけ



合図





カーテンの隙間から差していた陽が床を這って行き、最後に残されていたオレンジの光は、いつの間にか室内の薄い闇と混じり消えていった。
ベッドの上に足を投げ出して座り壁に背をあずけ、触れ合っているのは肩と肩。腕と腕。そして握り合った手。
どれだけの時間こうしていたのかもう分からない。
そう広くも無い部屋のほんの僅かな空間に、自分達だけの世界がある。
特に何をしなくてもいい。したいのは、英二と一緒に居ること。





話す声は二人の間の空気だけを震わせて、同じように言葉を返してくれる彼の為だけに存在する。
他愛もない話なのに何故だか其れが可笑しくて小さく笑えば、可笑しくないよと不満げに言う英二もまた小さく笑った。
それがまた愛しくて口元を緩めながら彼を見ると、徐々に近づく瞳に急に彼の名前を呼びたくなる。
「英二」
「ん…何?」
返事と共に返されたのは、頬へのキス。
「なに?」
それだけで頬が急激に熱くなった。
「えーじ」
「なに?」
改めて問いながら、髪に瞼に額にとキスを止めない。
されるがままに其れを受け止めれば、熱が頬から身体に広がっていく。
それを隠したいと思いながらも一気に上がる熱を彼にも知って欲しいと思う矛盾した気持ちに、息が詰まる。
自分だけでは嫌だ。
そして、唇に柔らかい感触。
ただ触れるだけの唇は、それだけでは満足できない程の熱を持ち、無意識に彼の身体を引き寄せるのには充分だった。
「えーじ…好き」
唇が離れた瞬間に真っ直ぐ彼の目を見て伝えれば、その瞳には既に欲情の色が濃く見えた。
「うん。俺も好き」
そう言って唇が再び重ねられる直前、彼の瞳の中に映った自分の目も彼と同じ欲の色を持っていた。
それがどうしようなく恥ずかしいと思いながら、それでも何処か安堵を覚える。
自分だけが持った熱では無く、また、彼だけが持った欲でも無い。
求めるだけでは無く、求められていると言う安堵。
欲しいと感じたと同時に、欲しいと感じて貰える幸せ。
それを得る為に何の合図が必要だというのか。
好きだと思うだけで、今は何も要らない。
それが嬉しくて、また夢中で口付けを続ける。





倒れ込んだベッドの上。
何度も英二の名を呼び抱き合えば、好きだと囁く声が心地良く身体に染みた。
部屋の隅に置かれた小さなベッド、そこに今の僕達だけの世界がある。
抱き合う為の合図は要らない。必要なのは英二だけ