それもひとつの愛のかたち




何に急かされているはずも無いのに、焦る指はシャツの釦を上手く外す事が出来無い。
それは不二も同じようで、二人の間で手と手がぶつかり合う。
一刻も早く触れたくて顔を近づけると目を閉じる間も無く唇が重なり、一気に上がった熱をどうにかしたくてシャツを引き千切るように投げ捨てた。
床の上に捨てられたシャツに目を向ける事もせず、制服のズボンを下着ごと蹴飛ばしながら脱ぎ捨てる。
そのまま抱き合いベッドに倒れ込んだ。
足先に引っ掛かっていたズボンが引きずられ、わざわざ外す事が無かったベルトが床の上で大きな音を立てたような気がした。
けれど今の自分には、不二の息遣いと声それに鼓動だけが聞こえればいいのだから、耳障りな音など無かったと同じ。
既に乱れてしまった不二の髪を撫でながら夢中で舌と舌とを絡ませた。
乱れていく息が熱い。それと同じくらいに、背中に廻された不二の腕も熱い。
飲み込む事が出来ない人形のように、開けられたままの不二の口から二人分の唾液が流れ、それを追うように舌を這わせた。
「えいじ」
引き寄せられ熱い息で囁かれれば、それ以上の熱が下半身を熱くする。
勃ち上がったお互いの性器が触れ合い擦れ合って腰を揺らし、直ぐにでもイってしまいたい衝動を何とか抑えた。
「えいじ…」
もう1度名前を呼ぶ不二の指に手を捕られ、張詰めた性器へと手引きをされる。
「イく?」
「ん…はやく…ッ」
触れた瞬間にイってしまいそうな硬く張った其れに舌を這わせながら根元から擦り上げると、不二の口から声にならない声が溢れた。
滲み出た精液と唾液が混じり合い、それが性器全体を濡らしながら最奥の場所に流れ落ちた時、掌の中で大きく脈打つのが分かった。
「っ…えいじっ」
同時に呼ばれた声。
鼓動が一層早くなる。
「もっ…と」
だらしなく開かれていた足を自ら大きく開き、まだ上手く喋る事が出来ない程跳ねた息でその先の行為を欲しいと強請られる。
自分自身数回込み上げた衝動を抑えてきた分、覚えたばかりのセックスの快感を直ぐにでも感じたいとは思うけれど、不二を傷付けたいわけじゃない。
不二に苦しそうな顔をさせるのが嫌で、ゆっくりと慎重に自分の性器を埋め込んで行った。
異物を埋め込まれた場所はそれを吐き出そうとし、眉を寄せて強く目を閉じる不二の表情が痛々しい。
それでも自分を受け入れようと、必死に息を詰める不二が好きで好きでたまらなくなる。



初めて身体を重ねた日、不二が言った。
「僕が英二を抱くのも、英二が僕を抱くのも同じだよ」
そして、1度だけ不二に抱かれた時、その本当の意味が分かった気がした。
痛みを超えた痛みの中で、自分は何故か泣きそうになる程幸せだと思った。
好きだから触れ合いたい。
好きだから抱き締め合いたい。
好きだから、全ての場所から体温を感じ合いたい。
求めるモノが同じなら、形なんてどうでもいいのだと思った。



セックスに溺れたんじゃなく、自分は不二に溺れたのだ。
「不二、好き」
深い場所まで繋がったまま抱き寄せ、唇を触れさせながら呟く。
「うん、僕も好き」
そう言った不二から、もう苦しさの欠片も見えない微笑を貰った。