L+36days





休日に少しだけ足を延ばせば、海の見える公園に行ける。
人工的に作られた海岸線と、旋回する飛行機ばかりが見える空、そして地面を覆う綺 麗に刈り揃えられた緑の芝。
それでも、海から吹いて来る風は本物の匂いがする。
秋の太陽は適度に眩しく、穏やかな風が心地良い。

二人だけでは無い今は、手を繋ぐことは出来ない。
けれど海と空を見るだけのこの場所この時間が好きだった。
自分達だけが知る恋は、時に苦しく、漠然とした不安を抱え込んでしまう。
それが想いのもたらす物だと判っていても。
それでも彼と歩いて来たし、これからもそう在れば良い。
空が高く無くても、海が青く無くても、肩を並べた彼との秘密の恋が幸せだと思える 。



「気持ち良くて寝そう」
「うん」
芝生に直接寝転んで目を閉じた。彼の横顔が見えなくなるのが少しだけ嫌だなと思っ たけれど、重くなる瞼に素直に従った。
目が覚めた時にも、隣には彼が居る、そう思うだけで目を閉じる事ができる。



二人きりの時だけ手を繋ごう。
そして行ける所まで歩いて行こう。
時には立ち止まり、時には大人の振りをして。